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シャングリラ  【サイコパスR18】

第2章 迷い蝶


えっと、刑事課一係、って、どこ?しかも、これ、なんて読むの?ホントに人の名前?これ。
 突然ですが、ワタクシ月島悠里は、絶賛迷子中です。公安局の建物も大概広い上に、似たようなオフィスがちらほら。ついでに、書類に書かれた監視官さんの名前も読めません。場所と人名が同時に分かりません。これはピンチです。誰か助けて、と言いたいけれど、ここは多分刑事課のフロアです。皆さん出動中なのか、人影がほとんどありません。私もよく分からないけど、刑事課のフロアっていうのは、アレだよね?監視官さんだけではなく、執行官さんたちとばったり会う可能性がとても高い場所、だよね?私自身、ここに来てから日が浅いこともあり、執行官と直接かかわった経験はほとんどない。それでも、潜在犯である執行官という名前を聞くと、どこか落ち着いてはいられない自分がいる。
世間では執行官――――つまり潜在犯は危険な存在とされている。近くにいるだけで、色相がクリアな人でも色相が濁り、犯罪係数が上昇すると言われている。そして、色相が濁り、犯罪係数が上がった人間は、更生施設へと送り込まれることとなる。いわば、社会から隔離されるのだ。そして、一度施設へと入ったら最後、ほとんどの場合は社会復帰などできない、と聞いたことがある。そして、最悪の場合は―――――
「……!」
 ここまで考えたところで、私は勢いよく首を振った。こんなことばかり考えてたらダメだ!まずは、そう、刑事課一係がどこにあるのか早く探して、さっさとこの荷物を渡さないと。文字案内はあるけど、同じような景色ばかりで、気が焦る。もしかしたら、同じところをぐるぐると回っているだけなのかな。どんどん自信がなくなってきた。私は両腕に抱えた荷物に視線を落とす。内容どころかタイトルすら知らないが、中身は分厚い本らしく、なかなかに重量感がある一品。
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