第57章 ラヴァーズ・パニック Ⅴ
「まぁ、何……?メシでも食って、ゲームでもする……?」
「うん。……、うん。そうだね。たまには、のんびりも、いいよね……。」
何だか、今になって、どっと疲れが出てきた悠里だったが、まぁそれだって悪くないと思い始めていた。何はともあれ、縢は一途で、自分を想っていてくれているということだって、再確認することができた。
「ねぇ、秀星くん……。」
「……ん?」
分析室からの帰り道、悠里は縢の顔を見ることなく、ふいに話し掛けた。
「今日は、疑ってゴメンね……。それと……、」
「それと?」
縢は悠里の横顔を覗き込む、しかし、悠里は縢へ向き直ることなく、そのまま口を動かした。
「好き。」
「……!」
――――――夕陽も差し込まない公安局内執行官隔離区画、廊下にて。
まぁ、たまにはこんなオフも、悪くない。縢は、そう思いながら、悠里の手をそっと握った。