第50章 御伽話 Ⅵ
『『フェアリー☆ランド』内のエリアストレスが、物凄い速度で上昇してる!サイコハザード警報が発令されたわ!まずいわね……。まずは、園を完全封鎖!…………よし、出入り口はドローンで完全に固めたわ!!あとは、皆の出番ね!』
サイコハザードが発生したことで、一係も分析官も、緊急対応に追われている。しかし幸いにも、ここは閉鎖された施設だ。出入り口を完全に塞いでしまえば、ひとまずはそれ以上に被害が拡大することが無い。ただ、園内には保護対象が数千人といる。一刻も早く対処しなければ、潜在犯を多く生み出す結果になりかねない。それに、あまりにも時間を掛け過ぎてしまえば、園の外にも異変を勘付かれ、結果としてサイコハザードエリアが拡大してしまう恐れがある。それは、何としてでも阻止せねばならない。
「クソ……どういうことだ……!全員、ドミネーターの使用を許可する。一刻も早く、市民たちを保護しろ!」
控室内に、宜野座の声が響く。
『今、三係も全力で応援に向かってるわ。モチロン、追加のドローンと予備バッテリーも載っけてるから、それまでは一係でできる限りの対処をお願い。』
唐之杜の声を聞きながら、一係全員が、ドミネーターを起動させる。
「念のため園内は、2人1組で行動しろ。狡噛は征陸と、縢は六合塚と行動だ!俺は後で合流する。いつでも通信できるようにしておけ!急げ!」
宜野座の声に追い立てられるようにして、執行官たちは控室を後にした。
「園長!!あの大型モニターの電源を、早く切ってください!!」
一方の宜野座は、ものすごい剣幕で本田に怒鳴りつけている。
「ヒィィィ!さ、さっきからやっているんです、けど……、電源を切っても、予備電源に切り替わるだけで……!予備電源は、なぜか操作不能なんです……!もう、もうダメです……!!」
「とにかく、早くあの映像を止めるんです!!」
宜野座はさらに激昂して、本田に怒鳴りつけた。
「お、おおぉ……、オンライン状態もせ、切断しようとしているのですが……!これも、できないんです……!どうしたらいいんだ……。あ、あぁぁぁぁ…………!あああああああああ……!!!!」
そう言って本田は絶望し、その場に崩れた。これで、本田が今日まで築き上げてきた地位は完全にパアだ、本田の頭の中は、そのことでいっぱいだった。それどころか、社会復帰だって厳しいものがあるだろう。