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シャングリラ  【サイコパスR18】

第44章 メイド・イン・ラブ Ⅲ


「ん……!?ちょ、ん……?悠里ちゃん……!?」
 ちゅ、と湿っぽい音がして、私の唇が秀星くんのそれから離れた。
「ん?」
「な、なんで……?」
 秀星くんは、心底驚いている様子で、目を丸くさせて私を見つめている。
「なんでって……。うん。秀星くんに、さわりたかった、から……。」
「っ……。」
 秀星くんは、ふっと私から目線を逸らした。そして僅かに、何かを考えるような目の動き。それが終わったかと思うと、少し俯きがちになった。
「嫌、だった……?」
「嫌じゃない。嫌じゃない、けど、さ……。」
 僅かに頬を染めながら、秀星くんが言葉を繋げる。
「そんなことされたら、俺……!」
 何かから目を背けるようにして、私か目線を外したまま。秀星くんの拳は、ソファーの上で固く握られている。
「……、ううん。何でもない。」
 何かを諦めるように、秀星くんの拳はほどかれて、代わりに笑顔を向けてくれた。
「ねぇ、ゲームでもする?この間新しいソフトダウンロードしてさ~。「フェアリー☆ランド」キャラの対戦パズルだから、悠里ちゃんも楽しめると思うよ!ね、やろーよ!」

「……。」
「悠里ちゃん?」
 私は……、私は、秀星くんに触れたい。触れられたい。ゲームなんかより、秀星くんがいい。秀星くんじゃなきゃ嫌。もう、こうなったら止められない。
「秀星くん……。」
「な、何……?」
 秀星くんは、私から目線を外しながら、返事をした。

「私、私も……、秀星くんに……、甘えたい……、とか……。」
「……。」
 秀星くんは、返事をしない。
「だ、だめ……?」
 恐る恐る、秀星くんを見ながら問い掛けてみる。
「……、ダメ、っていうか……!」
 秀星くんは、戸惑いがちに唇を動かした。さっき私が触れた秀星くんの唇から、次の秀星くんの言葉が零れるのを、私はじっと待っている。
 今日の私は、秀星くんに甘えさせてあげる「メイド」だったはずなのに。やっぱり、私は「メイド」には向いていないみたい。
「……。俺……、また……。……、ううん。何でもない。……、ん……。いいよ、悠里ちゃん。この秀星くんが、甘えさせてあげよーじゃない!リクエスト、ある?」

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