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シャングリラ  【サイコパスR18】

第43章 メイド・イン・ラブ Ⅱ


 『執行官』の仕事をしているときは、どんな「顔」をしているんだろう。そんな疑問がふと浮かんだ。勿論、私が管財課の仕事をしているときに、刑事課のフロアに行くこともあるから、たまに会う。でも、刑事課のフロアにいる秀星くんは、基本的に待機かデスクワークのどちらかだ。だから、本当に『お仕事』をしている時の秀星くんに会ったことなど、皆無だ。いや、秀星くんの『お仕事』現場を見るということは、私が何かの事件現場に出くわしたときか、付近のエリアストレスが上昇したときぐらい?あ、でも、刑事課の人たちが街で『お仕事』をするときには、公用ホロを被るんだっけ?だとしたら、もし出会っていたとしても、私は気付くことができない、ということになるのか……。



「ん……、ぁ……、はっ!?」
 突然、秀星くんが勢いよく体を起こした。
「秀星くん?」
「あ……。俺、寝てた?」
 少しまだ眠そうな顔で、秀星くんが目を擦っている。
「うん。寝てた。」
「どれぐらい?」
「うん?20分ぐらい、かな……?」
「そっか……。ごめん……。」
「謝らなくていいよ。疲れてるんでしょ?」
 私としては、可愛い秀星くんが見られて、嬉しかったし。
「うん……。でも、ちょっとだったけど、深く眠れた気がする……。ん……。寝て、気分もスッキリしたし……。」
 秀星くんの声は、その言葉通り、眠る前よりもスッキリしている。
「そっか。良かった。」
「それにしてもさ……、メイド服……、やっぱイイな……。」
 秀星くんは、ソファの上に座って、同じくソファーに腰掛ける私をまじまじと見つめて呟いた。起きて言うことはそれか?とか思ったけど、もういいや……。今日は秀星くんに、甘えさせてあげることになったわけだし。
「何を言ってるんだか……。」
 呆れながらも、やっぱり秀星くんのことが大好きな私は、秀星くんにすっと手を伸ばして、そのまま指通りの良い彼の髪を撫でた。
「ん……。」
 秀星くんは、嫌がるでもなく私の行為を受け入れている。目を細めている辺り、満更でもないのかもしれない。いや、そうであってほしい。
「ん……、きもちいい……。」
 そう呟いた秀星くんは、普段よりも一回り幼く見えた。でも、目を細めて無防備な顔をしている秀星くんは、いつもとは違う魅力がある気もする。
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