第42章 メイド・イン・ラブ Ⅰ
――――――、あ、いや、ちょっと待て。「お世話」……?女性が、他人をお世話するときの服、か……。それは、こう、中々に……!!
「ね、コレ、幾ら?」
「そこの値札通りだよ。」
―――――そう高くないどころか、俺の給料でも、余裕で買える値段だ。むしろその辺にあるブランド服よりか安いぐらいだ。
「電子決済できる?」
「勿論。いや、でも、……アンタ、男だよなぁ?そんな趣味があるのかい?」
老婆は、怪訝そうな目でこちらを見てくるが、気にしないことにしよう。
「いや、俺は別に。まぁ、使い道の心配は要らないよ。んじゃ、おばあちゃん、ありがと――――」
「縢!!貴様監視官の監視から逃れるとは、良い度胸だな!!そうか!貴様そんなに反省文が書きたいか!!!」
バン!と扉を開けながら、ギノさんがものすごい剣幕で怒鳴った。『健康な市民』の前で、何をやっているんだか。これじゃあ、俺よりもギノさんの方が悪影響じゃないだろうか。
「うわっ!ギノさん、おばあちゃんがビックリしちゃうじゃないっすか~!」
「む……。これは、失礼を致しました……。縢、戻るぞ。ホラ、急げ!」
「おばあちゃん、ありがと~!」
ギノさんに腕を引っ張られるようにして、店を出た。老婆は、ギノさんの登場に驚いていたが、最後は俺とギノさんのやり取りを、目を細めて、俺たちが見えなくなるまで見つめていた。
俺の持つ紙袋からは、真っ白なレースが僅かに覗いていた。