第39章 ヒトリ
仕事にはすっかり慣れた。最初はどうしていいか分からなかった。今も正直、分からないことだらけの毎日。相変わらずミスだって多い。でも、管財課のシステムは私にとって使い慣れたものになってきているし、上司や後輩との関係も至って良好だ。刑事課の人たちと関わるのだって、私にとって密かな楽しみになっている。仕事から帰っても、何不自由ない生活を送っている。秀星くんと会う日以外のオフは、自宅でのんびりと過ごしたり、買い物へ出かけたり。秀星くんたちが守ってくれている安全な街、快適な暮らし。不満なんてない。
……それなのに。最近、私は少し変だ。……いや、「少し」じゃないかもしれない。それに、「最近」だけじゃないのかもしれない―――――そう、本当は少し前から徐々に変になってきていて、それが「最近」、私がはっきりと認識できるほどに表面化してきただけなのかもしれない。特に、秀星くんのお部屋に行った日は、とりわけ変、だ。