• テキストサイズ

シャングリラ  【サイコパスR18】

第3章 涙


「ちょ、悠里ちゃん!?」
 かがりさんが慌ててる。その瞬間、私は自分の頬に生暖かいものが流れていくのを感じた。
「あれ?私、あれ……!?」
 自分でも、理由なんてよく分からない。
「何で悠里ちゃん泣いてんのよっ!?」
 でも、この場で一番慌ててるのは、かがりさんで間違いない。
「え、あはは……。なんででしょう。自分でもわかりません……。」

「ハァ……。だからその辺にしとけって言っただろ、縢。先輩の忠告を無視するからだよ。」
 そう言って狡噛さんは、余裕そうに、口元にゆったりと笑みを浮かべた。至極落ち着いた、大人の態度。
「そんな、コウちゃん!っていうか俺のせいなの!?ねぇコウちゃんってば!?」
 かがりさんは、私と狡噛さんを交互に見て慌てている。それが可笑しくて、こっそり笑ってしまった。

「他に誰がいるんだよ。ま、自分で泣かせたんだから、責任は取れよ。ギノには俺から適当に言っといてやるから。」
 そう言って、狡噛さんは大人の態度を崩さず、煙草とタオルを持って、トレーニングルームを出て行ってしまった。

「う……、コウちゃんの薄情者~!」
 かがりさんの声も空しく、狡噛さんからの返事が返ってくることは無かった。
/ 591ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp