第33章 『猟犬』 Ⅲ
手塚の叫びに合わせて、薄闇から5人ばかりが出てきた。先程から感じている視線と『悪意』の原因はこいつらだ。ご丁寧に、全員手にはネイルガンを装備している。それにしても、相手は6人、こちらは2人。しかも、いつもの最強武器(ドミネーター)も使用不可ときた。更に言うなら、コウちゃんと俺はほぼ囲まれてしまっている。どんな無理ゲーだよ、この状況。
「どうすんの?コウちゃん。」
隣にいるコウちゃんと背中合わせになりながら、短く言葉を交わす。
「どうするもこうするも、俺たち『猟犬』がやることは、たったひとつだろう、縢。」
相変わらず、恨めしいほどに余裕のある声。この状況で、この男は笑っている。それは、虚勢ではないのが恐ろしい。そう――――――この男の持つ獣性が、表面化しているだけの話だ。
「ま、そうなるよね。」
「行くぞ、縢!」
――――――カチャ
ネイルガンのトリガーに、指を掛けながら、目の動きだけで周囲を見回す。相手は飛び道具持ち、数も多い。これでは明らかに分が悪い。早く決着をつけないと、ジリ貧確定だ。