第28章 『執行官』 Ⅱ
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自分の部屋に着いてすぐに、楽な服装に着替えて、ベッドへ横たわった。
それにしても今日は、長い1日だった気がする。今日1日の出来事を、頭の中で思い返す。……『執行官』なんて、明日にはどうなるか分からない身だ。そう思うのは、何も今日に限った話ではない。俺が「どうにかなる」のは、明日かもしれないし、数年後かも、数十年後か、それは分からない。そもそも、『執行官』に待ち受けているものは、『犯罪者』への転落か、現場での殉職ぐらいのものと、相場は決まっている。
「悠里ちゃん……。」
縋るように呟いた、悠里ちゃんの名前。俺の声は酷く情けない響きをもって、この『檻』の中に消えていった。