第25章 クリスマス・イヴの憂鬱
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そんなこんなで迎えたクリスマス・イヴ。先生との会話の後、なんとなく私から秀星くんにメールをしてみたところ、偶然にも定時以降は空いていたらしい。しかも、次の日は第二当直らしく、午前中は特に何もないとか。まぁ、私は翌日も普通に勤務だけど。有給休暇を消化しようかとも思い立ったけど、急過ぎて、流石に休みを取ることはできなかった。それでも、秀星くんとクリスマス・イヴを過ごせると思うだけで、胸が高鳴る。
クリスマスプレゼントも買ったけど、喜んでくれるかな。自信が無いから、サンタさんからのプレゼントってことにしようかな。あ、でも、こんな話、秀星くんは知らないかもしれないし……、分からないな。
秀星くんの部屋の前で深呼吸する。クリスマスに恋人と過ごすときは、めいっぱいオシャレをするものと、相場が決まっていたらしい。それが本当かどうかは分からないけど、先生に教えてもらった通り、できる限りのオシャレをしてみた。仕事帰りだから、そんなに大層なオシャレはできないけど、今日は着替えを持ってきて、トイレで着替えてから来た。普段の仕事着とは全く違う、ふんわりとした膝丈のワンピース。細かい装飾品は流石に持って来られなかったので、ちょっとだけホロデバイスの力も借りてみた。
……どうしよう、緊張する。もうすっかり入り慣れた秀星くんの部屋なのに。
呼び鈴を鳴らすと、出入り口が開いて、秀星くんの弾んだ声。
「いらっしゃ~い……って、どしたの!?そのカッコ!」
秀星くんは、頭からつま先まで私を見た。
「へー、ほー、ふーん……。」
何だろう。やっぱり変だよね……。慣れないことはすべきじゃないって、誰が言ったんだっけな。一方の秀星くんはいつも通りの部屋着。いや、いつもの部屋着姿の秀星くんだって、とってもカッコ可愛いけどね!
「あ、やっぱり変だよね。着替えてくる……。」
「何言ってんの!可愛いって!早く入った入った!」
「あ、ちょっと……!」