• テキストサイズ

シャングリラ  【サイコパスR18】

第25章 クリスマス・イヴの憂鬱




「クリスマス、ですか?」
「ええ。明後日はクリスマ・イヴ。前夜祭のことね。何十年か前までは、結構街もクリスマスムードに染まってたらしいわよ。街中に大きなツリーが出てきて、綺麗に飾り付けられたとか。」

 仕事で分析室へ1人で来た。仕事が終わって帰ろうとしたら、「少しぐらい、おしゃべりしましょうよ」って、先生に引き留められた。別段これといって急ぐ仕事が無かったので、お誘いに乗った。

「クリスマス……、どこかで聞いたことはある気がするんですが……。」
 思い出せない。
「まぁ、前時代のことだから、馴染みがなくて当然よ。」
「うん、発端は宗教的な行事らしいけど、日本ではあまりそういった意味では捉えられずに、恋人や家族と過ごすイベントとして周知されていたみたいね。」
「……恋人、ですか……?」
 先生の話によれば、昔はクリスマスと言えばなかなかに盛り上がった行事らしく、家族でケーキやご馳走を食べて過ごしたり、恋人と甘いひと時を過ごしたりする日だったらしい。あとは、プレゼントを贈り合う慣習なんかもあったらしく、クリスマス商戦と呼ばれるほど、店も熱を入れて物を売っていたらしい。あとは、サンタ・クロースの話。白髭を生やした肥満体型のおじいさんが、大きな袋にプレゼントを入れて、それを小さな子どもに配り歩いていたらしい。でも実際は、その子どもの親が、子どもが眠ってから枕元にプレゼントを置いていたとか。どれもこれも、最初は何ともシュールな話だと思ったけど、話を聞いているうちに、それはそれで素敵なのかな、なんて思えてくるから不思議。秀星くんは、こういう話を知ってたりするのかな?

「先生も、恋人と過ごすんですか?」
「うふふ。まぁね。」
 艶っぽい微笑み。先生は本当にセクシーな人だな、と思う。
「悠里ちゃんは?やっぱり、シュウくん?」
「えっと、……、何も決まってないですけど……。」
 一緒に過ごすどころか、会う約束すら無い。
/ 591ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp