第24章 ゲーム・パニック Ⅲ
「……よっし!完成!っく~!時間かかった~!」
やっとビーフシチューを作り終え、軽く伸びをする。良い牛肉が塊で手に入ったからという理由で、ビーフシチューに挑んでみたが、なかなかに時間がかかってしまった。煮込む時間を読み違えてしまった所為で、随分と悠里ちゃんを待たせる結果になってしまった。しかしそれ以上に、今日のシチューは良い出来だ。牛肉というメイン素材はもとより、野菜やハーブとのバランスも絶妙だ。悠里ちゃんの反応を想像するだけで、自然と笑みが零れる。悠里ちゃんのことだ。笑顔で味わってくれるに違いない。一緒に食べるバケットも、トースターで温め直してあるし、バターだって甘めのものを完備。添え物には、さっぱりとした水菜のサラダをチョイス。シチューの味が濃いので、ノンオイルのドレッシングにしている。デザートは、レモンムースケーキにしてみた。メインのシチューがべったりしているので、口直し兼カロリーセーブ。ミントが、食後の口当たりを爽やかにしてくれるはず。
さて、悠里ちゃんを呼びに行こう。自然に緩む俺の頬は、どうにも引き締まらない。