第21章 『檻』
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「深みにハマると、抜け出せなくなる、かぁ……。」
コウちゃんが帰っても、俺はしばらくの間、ゲームに耽っていた。でも、適当に時間が経ったところで飽きてきた。持っていたゲーム機をクッションの上に放り、自分は座っていたソファーに体を預け、伸びをした。目を閉じれば、悠里ちゃんの顔が浮かんだ。
「悠里ちゃん……、深みに……、抜け出せなく……。」
気が付けば、俺の口は、そんなことを口走っていた。そして、次に思い浮かぶのは、当然というか何というか、悠里ちゃんのエロい姿なワケで。
……、そう、分かってるって。まだイれてなくても、俺はもう抜け出せない。日に日に、悠里ちゃんが、俺の中で大きくなっていっては、もっと悠里ちゃんに触れたい欲求が大きくなっていく。―――――いや、触れたいだなんて、とんだ婉曲(えんきょく)表現だ。出来るなら、悠里ちゃんが拒絶しない限りヤれることはヤって、悠里ちゃんのナカで気持ちよくなりたい。
――――――何考えてんだよ、俺。
でも、こんなの、今に始まったことじゃない。俺の頭の中じゃ、悠里ちゃんは幾度となく俺に犯されてる。本人は知る由もないが。悠里ちゃんは、俺の頭の中を覗いたら、何を思うだろうか。――――最低?変態?―――――よく分からないが、悠里ちゃんだって、さほど俺を拒否しない辺り、そんなに嫌じゃない、筈?―――――いや、これは俺がそう思いたいだけか。
「コウちゃん、言うの遅ぇよ……。」
俺の声は、この冷ややかな檻の中で反響することなく、余韻も残さずに消えていった。