第20章 バースデー・サービス 後編
―――――ピピピピピ! ピピピピピ!
短く電子音が鳴り響いて、すぐに止まった。そう言えば、自分の端末のアラームを、0時ちょうどにセットしていたのを思い出した。ふわふわとしていた私の意識は、ほんの少し、現実に戻ってきたような気がする。
「―――――お誕生日、おめでとう。私は、秀星くんて出逢えて、こうやって一緒にいられて、とっても嬉しいです。ありがとう。」
思ったことを、ふわりと空気に乗せて、軽やかに。
秀星くんは、一瞬だけ目を見開いて、くしゃりと笑った。
「ありがと、悠里ちゃん。」
秀星くんの短い言葉は、温かな響きのまま、私の耳に溶けるように。
どうか、秀星くんが、少しでも幸せを感じて、歳を重ねていけますように。
私は、秀星くんに守られるように抱きしめられながら、祈るようにして瞼を閉じた。