第20章 バースデー・サービス 後編
カチャ、とベルトの金具が無機質な金属音を奏でる。それでも、私の手に触れる秀星くんの体は、当たり前に温かい。
「とれ、た……」
金具が外れた。ベルトと言っても、普通のベルトじゃなくて、お洒落で付ける用の、装飾品の雰囲気だった。お風呂上がりだし、そりゃそうだよね。
「ん、ご苦労様。それにしても、悠里ちゃん、緊張しちゃって、かっわいー。」
「ぅ……。」
私があんなに時間を掛けてベルトを外したのに、そんなのお構いなしといった具合に、秀星くんは上半身はランニング、下半身は下着1枚になった。
「ぁ……。」
男性にしては小柄な秀星くんだけど、体はがっしりしていて、筋肉質だった。無駄なお肉が一切ついてなくて、引き締まった上半身。でも、下半身に目をやるだけの余裕は、私にはありません。
「何ナニ?悠里ちゃん、もしかして俺に見惚れちゃってる?そんなに見つめられると、恥ずかしいんだけど?」
口調からは、恥ずかしがるような感じは一切受けない。むしろ、私の反応を見て、面白がってる。
「ち、ちが……!」
本当は違わない。秀星くんの躰は、やっぱり男の子のそれだって、意識してる。脈拍はどんどん速度を上げて、全身にその熱を、余すことなく伝えている。秀星くんに触りたい。触ってもらいたい。そんな気持ちで、私はいっぱいいっぱい。
「ね、サービス、してくれるんでしょ?なら、さ……」
秀星くんが、私の眼を見て、その奥を覗き込んだ。私の考えてることなんて、きっと簡単に見透かされてしまったに違いない。
「な、何……?」