第18章 誕生日
「備品のチェック、終了しました。報告書と、予備のタブレット発注は、私が管財課に戻ってから、まとめてやっておきます。タブレットは、2日もあれば届くと思います。ありがとうございました。失礼します。」
「ううん、こっちこそ、助かったわ。またよろしくね。」
2係の青柳監視官に挨拶をして、2係のオフィスを出た。仕事も、少しは慣れてきたかな。まだまだ、段取り良くソツなくとは言い難いけれど、山田さんや監視官さんたちに教えてもらいながら、何とかやってる毎日。今日は1係と3係には行かなくてよくて……、あとは……。デバイスを起動させて、時間をチェックした。よし、大丈夫。青柳監視官は優しくて、チェックも一緒にやってくれたから、すぐに終わった。ちょっと早いけれど、分析室に行かせてもらおうか。出来るところからひとりで進めていればいいし、もしそれがダメなら待たせてもらおう
「今日も、ひとりか……。」
最近、山田さんは出張や会議が多い。スケジュールを見せてもらっても、小難しい名前の出張や会議が並んでて、結局よく分からなかった。話を聞こうにも、ここのところは特に忙しそうで、オフィスにいないことも多くて、仕事で必要なところや、分からないことのうち最低限を尋ねるだけ、という感じになっている。
秀星くんとも、連絡が取れていない。いや、正確には、私から連絡していないだけなのだけど。秀星くんと最後に会った日に、泊まらせてもらってご馳走になったお礼と、最後におやすみなさいと付け加えて、メールを送ったきり。秀星くんからの返事は、短く「おやすみ」。あれから1週間。特別に用事があるわけじゃないし、秀星くんだってお仕事があるだろうから、毎日メールをするのも、迷惑かもしれない。でも、私としては、ほんの少しでも秀星くんとつながっていたいなんて気持ちもある。ああ、でも、秀星くんがこまめにメールや通話をするタイプかも分からないし……。そんなことを考えていたら、1週間が過ぎていた。