第17章 官能クライシス Ⅲ
どんどん纏(まと)まりがなくなっていく俺の思考回路。もし、悠里ちゃんが、俺が頭の中でこんなこと考えていると知ったら、どう思うだろうか。ドン引く?幻滅する?でも、本当なら、ドン引いて幻滅して、普通に別の奴と恋愛した方が、シビュラのお墨付きで幸せになれる。誰が考えたって、それが悠里ちゃんにとって幸せな選択だって、分かってるって、そんな事ぐらい。
「――――――っ……」
でも、ああやって俺に笑ってくれて、俺に必死になってくれる悠里ちゃんが、俺から離れていくことを想像するだけで、もう、どうしようもない気分になる。いや、悠里ちゃんは元々、「俺の傍になんているはずのない存在」なのだから、そんな気分になることすら、おこがましいんだって。悠里ちゃんのエロい姿とか想像して、ヌいてることだって、とんでもないことで。――――――もう、嫌になるぐらいに、分かってる、そんなことぐらい。
―――――――どうすんだよ、俺。
シャワールームを出て、冷蔵庫を開けて水分補給をする。なんとなく、チョコレートが目に入った。そういえば、悠里ちゃんが持ってきてくれたチョコレートは、俺がバカなことを言った所為で、食べ損ねたままだった。それをひとつだけつまみ上げて、口の中に放り込んだ。天然モノの上等なチョコレートは、悠里ちゃんと一緒に食べたときよりも苦いような、そんな気がした。