第3章 瞳をあけたままで~斎藤一編~
時尾に差し込んでいた牡茎をずるりと抜き出し、どろどろに蕩けているお互いの始末をしてから襦袢を着せた時尾の身体を大切に抱えて横たわる。
髪を鋤くように優しく撫でてやると
「ん………」
時尾は心地良さそうに目を細めた。
「朝になれば左之と不知火が迎えに来る。
少しでも眠った方が良い。
このまま…抱いていてやるから。」
「一さんは眠らないのですか?」
「あんたと一緒に居られる時間は…あと僅かしか無い。
眠る時間すら惜しい…と言ったらあんたは笑うか?」
「……私も同じ気持ちです。」
そう言って時尾は俺の胸に擦り寄って来た。
俺はその身体を強く抱き寄せる。
「一さん………」
「どうした?」
俺の胸に顔を埋めたまま、時尾が語り出す。
「本当は……帰りたく無い。
このまま、一さんの側に居たい。
私なんかが側に居たって一さんに迷惑を掛けるだけだって
分かってるけど……それでも離れたくないんです。」
「時尾……」
「父と母の元に帰れると聞かされた時は嬉しかったけど……
でもそれよりも一さんと離れる事が嫌だった。」
両親の元に戻れると伝えた時の不自然な態度にはそういう理由があったのかと今になって分かった。
「それに……一さんは私と離れてしまっても
平気なんだなって思ったら……悲しくて……」
「平気な訳が無い。」
時尾を抱き締める腕に一層力が籠る。