第3章 瞳をあけたままで~斎藤一編~
ゆっくりと舌を這わせながら襟元を開くと、思いの外豊かな乳房が現れる。
それを柔々と揉み拉き先端の突起を吸い上げてから時尾の帯に手を伸ばしたが、仰向けになっている時尾の身体に押されて上手く解けない。
「すまないが……少し腰を上げてくれるか?
このままでは……ほ…解けない。」
時尾が少し腰を上げて隙間を作ってくれたが、それでも上手くいかなくて俺は自分の不甲斐無さにとことん呆れた。
「先に解いておくべきだった…。
俺は……まだまだだな。」
「……自分で解きましょうか?」
遠慮がちに時尾は言ってくれたが、俺は向きになっていた。
「いや……これは俺が成すべき事だ。
あんたは手出ししないでくれ。」
「はい。」
時尾は少し微笑んで、また一段腰を上げてくれる。
そのお陰で何とか帯を解きその下の襦袢も左右に拡げると、透き通るような白い裸体が俺の目に飛び込んできた。
その美しさに言葉を失い、無言で見つめている俺に
「斎藤さん……恥ずかしいです。」
囁くように言って時尾は身を捩る。
「ああ……すまない。
あまりに綺麗なので……つい……」
俺は慌てて自分の着ている物を全て脱ぎ捨てた。
そのまま再び時尾に覆い被さると俺の素肌の感触に驚いたのか、時尾はびくりと身体を強張らせる。
「怖いなら…俺を押し退けろ。」
そう言うと時尾の両腕が伸びて、俺の肩に回された。
「斎藤さんの身体は温かいですね。
とても……安心します。」
時尾の頬を両手で包み、浅く口付けてから俺は懇願した。
「……名前を呼んでくれ。」
「………一さん?」
「もう一度だ。」
「一さん。」
俺の中にこれ迄に感じた事の無い幸福感が沸き上がる。
「もう一度……あんたの声で……俺の名を……」
「一さん………愛しています。」
「ああ………」
それから俺は貪るように時尾の全身に舌を這わせた。
過去に凌辱されたであろう身体を清めるように、俺の舌で消毒するように……大切に。