第3章 瞳をあけたままで~斎藤一編~
「とにかく、その血達磨な格好を何とかしてやれ。
着替えは俺が用意するから、風呂に入れてやるといい。」
「風呂に入れるって……こいつは目が……。」
左之がそう呟くと皆がはっと顔を見合わせた。
「あー……そりゃ誰かが面倒見なきゃならんだろう。」
副長が頭を掻きながらぶっきらぼうに言う。
「誰かって……誰が?」
新八が少し興奮気味に皆の顔を見回すと
「ああっ……もう。総司か斎藤だ。
お前らが連れて来たんだから責任取れ。」
副長は投げ遣りに言い放つ。
俺は驚いて目を見開いたが、総司はくつくつと笑いながら言った。
「いいけど…僕が面倒見たら、襲っちゃうかもしれないですよ。
だって時尾ちゃん、可愛いからさ。」
その時、初めて時尾が反応を見せた。
総司の言葉に怯えたように身を捩る。
「総司、無駄に怯えさせるような事は止めろ。」
俺が総司を睨み付けると、
「じゃあ、一君に決まりだね。」
と、ぱんっと一つ手を打った。
「は……?」
俺が皆の顔を見回すと、全員が納得したようにうんうんと頷いている。
総司にやられたと気付いた時には遅かった。
「…………分かった。」
俺は諦めて時尾の面倒を引き受ける事にした。