• テキストサイズ

薄桜鬼~いと小さき君の為に~

第3章 瞳をあけたままで~斎藤一編~


「さて……この女をどうするかだな。
 まさか、放り出す訳にもいかねえし。」

副長が困り果てたように言った。

「それに…この女も間者である可能性は拭えません。」

俺がそう言うと総司がからかうように笑った。

「相変わらず一君は容赦無いねぇ。
 流石にそれは無いって僕は思うけどなぁ。」

「でも放り出せばまた長州の奴等に捕まっちまうかもよ?
 そうなると兄貴の事もあるし、この娘危ないじゃん。」

平助が何とかしてやりたいという様子を隠しもせず訴える。

暫く全員が無言で頭を抱えている間も時尾は微動だにしなかった。

「まあ、斎藤の言う事も平助の言う事も尤もだ。
 ……仕方ねえ。暫くこの女は此処で預かる。」

全員が驚いた顔を見せたが、それでも副長の決断に異を唱える者は居なかった。

「間者の可能性も勿論だが、そうで無くても
 長州の奴等が取り返しに来るかもしれねえ。
 だから交代で一日中監視しろ。」

「ああ……やっぱりそうなるのかぁ。」

総司が大袈裟に溜め息を吐いた。

「何だ?文句あるのか?」

「いいえ。やりますよ。」

副長が睨み付けても、総司は全く気にする様子もなく笑った。
/ 174ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp