第2章 輝く意味~原田左之助編~
「……じゃあ…覚悟しろよ。
陽が上るまで…もう離してやらねえからな。」
「んんっっ……」
言うや否や俺は操の唇を激しく貪った。
舌で唇を割り、口腔奥深くまで差し込んで操の舌の付け根を舐める。
「……ふっ……う…」
操は口を閉じる事が出来ず声にならない吐息を吐き、口の端から飲みきれない唾液をとろりと溢れさせた。
くちゅくちゅと厭らしい音を響かせて操の口腔をこれでもかと舐め上げてからやっと唇を離すと、二人の間につうっと唾液が糸を引いた。
頬を上気させてうっすらと涙を浮かべた操が俺をじっと見つめる。
「やっぱり可愛いな……お前は。」
「原田さん……」
「左之助…だ。呼んでみな。」
「左之助……さん。」
「……そうだ。」
腰紐に手を伸ばししゅるりと解いて、襦袢を大きく左右に拡げる。
「………あ」
素肌を全て俺に曝け出した操が耳まで紅く染めて身を捩った。
「恥ずかしがらなくてもいい。…凄く綺麗だ。」
操の全身を舐め回すように見つめながら、俺も自身の着ている物を手早く脱ぎ捨てると操が小さく息を飲んだ。
その目が見つめているのは、俺の下腹の一本傷だった。
「これか?……ちょっと若気の至りでな。
………怖いか?」
商家で生まれ育った操はこんな刀傷なんて見た事は無いだろう。
怯えさせてしまったかと少し後悔したが操は上体を起こしゆっくりと首を横に振った。
「怖くなんかありません。
左之助さんの身体に在る物なら…この傷ですら愛おしい……」
操は下腹の傷に指を這わせ、そこにそっと口付ける。
「…………っ」
怖がられたり、気味悪がられた事は幾度もあったが、この傷に口付けた女は初めてだった。
操への愛おしさが際限無く沸き上がり、その身体を支えて優しく横たえてから俺はゆっくりと覆い被さる。