第6章 愛しすぎている~風間千景編~
そのまま無造作に敷かれていた布団へ私を運び、その上にそっと横たえた。
「………千景?」
艶めかしい熱を持った深紅の瞳に見つめられ、私は怯えるように男の名を呟く。
「お前は俺を果てさせた。その御返しをしてやろう。
一晩かけて……じっくりと…な。」
不敵に笑う千景の手が私の帯に伸びて来て、いとも容易く着ている物を全て剥ぎ取られてしまった。
これ迄何人もの男に弄ばれた身体を千景の前に晒すのが酷く恥ずかしい。
それなのに千景は一糸纏わぬ私の身体を舐めるように見下ろしていた。
「……っ…………見ないで…………」
その羞恥に耐えられず顔を背けた私の顎を千景が掴んで上向ける。
「何故だ?お前は存外に美しい。
俺を煽るには充分だ。」
美しい?……私が…?
そんな事を言われたのは生涯で初めてだ。
あいつですら美しいなど言ってくれた事は無かった。
その言葉に驚いて目を瞬かせている私に千景が口付けて来る。
「…………ん」
一瞬で千景は唇を離したが、それはまだお互いの吐息が触れる程の距離にある。
「何を驚いている?
俺は世辞など言わぬぞ。」
そう言ってまた私の唇に千景の形良い唇が重なった。