第6章 愛しすぎている~風間千景編~
「……はっ……あ…」
心地好い悦楽を感じて全てを吐き出し女の口から萎えた牡茎を引き抜くと、女は苦しそうに眉を寄せてごくりとそれを飲み込んだ。
その姿を見た途端、羞恥と罪悪感が沸き上がり
「………すまぬ。」
俺は女に謝罪していた。
「構いませんよ。」
女は濡れた唇を指で拭いながらそう言って立ち上がり俺を見下ろした。
その目には僅かな軽蔑と圧倒的な悲哀の色が浮かんでいる。
「千景様がどなたを想いながら果てようが、
私には関係の無い事です。」
女の意識は口の中に吐き出した事よりも、俺が自分以外の女の名を呼んだ事に向けられているようだ。
「何故、涙を流した?」
俺の問いに女の身体がびくりと強張る。
「さあ……何故でしょう。
では、私はこれで……。」
曖昧に答えを濁して逃げるように部屋を出て行こうとする女の手首をしっかりと捕まえる。
「何処へ行く?
俺はお前を抱く…と言った筈だ。」