• テキストサイズ

△ Campus Life

第6章 Another


「…寝ましたね。」
「…寝ちゃったね。」



俺の膝に頭を乗せて寝息を立てる彼女。
散々、翔さんのことで泣き喚いていましたし…泣き疲れたんでしょうね。



「それで?」
「…」
「本当のところ、小雨ちゃんのことは、どうなんですか?」



もうお酒を飲むのはやめにして、遠くを見つめながらビール缶に口をつける翔さんを見つめた。



「俺にも、よくわかんねぇ。」
「そっけないですね。」
「んぁー…好き、とかそう言うんじゃない気がすんだよな。」



翔さんは頭をぽりぽり掻いて、飲み干したビール缶を握りつぶした。
くしゃっと音が鳴って、ビール缶が凹む。



「じゃあ、俺がもらっていいですか?」
「ダメだ…っていうかニノ彼女いるじゃん?」
「んふふ。でも、ちゃんと最初にダメって言うじゃないですか。」
「あ…。」



翔さんは鈍感なんですね。
まさかとは思ってましたけど。
今のでよーく分かりました。



「まぁ、幼稚園からずっと一緒って言ってましたし、兄妹みたいな感覚が先に来ちゃうんでしょうね。」
「そうなんだよね。だから小雨と恋愛してるところは想像できない。」
「でも彼氏ができるのは見過ごせない、と。」
「うわ、俺…何様だよ…。」



翔さんはかなり落ち込んでしまった様子。
自分で握りつぶしたビール缶とおんなじように、凹んでいる。
この2人が上手くいくようになるには、ちょーっと時間が必要みたいですね。



「翔さんの心と頭がちぐはぐなのと同じで、小雨ちゃんもだいぶちぐはぐしてますし、そんなに落ち込むことないですよ。」
「は?」
「そのうち分かりますよ。」



翔さんはポカンと口を開けて首を傾げている。
そりゃ、今の翔さんには何のことだかサッパリ分からないでしょうね。
傍から見てればこの2人、上手くいってるように見えてますけど。
時が解決してくれそうな気がするので、俺は2人のことをしばらく傍観することに決めました。



俺は残りのビールを飲み干してゴミ袋に投げ入れた。
そしてそーっと小雨ちゃんの頭を膝から下すと、せっせと片づけを始める。
いつまでも外で寝かせていては風邪を引きますからね。
翔さんも空気を感じて、片づけを手伝い始める。
まださっきの俺の言葉を考えているのか、終始無言だった。
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp