第6章 遠き想い出
母上「大丈夫、ずっと一緒だったんでしょ?
だったら…
あなたが信じないで、誰が信じるの?」
恵土「母上…」
父上「恵土、信じろ。
お前の信じる、父上や母上は
そんなにもろいものか?」
恵土「ううん」
それにかぶりを振った。
人として、本当の意味で強いって意味を知っているから…
人として…二人が本当に強いってことを解っていたから…
そうして、川に水を汲みに行った…
冷たい水をとって来て、帰って来ると…
そこには、両親の血にまみれ…
まだ、意識がある姿があった…
恵土「…」
がくっ(その両親の前にひざまずく)
「早く止めを刺してやれよ」
そんな村人の声に
恵土「ぶちっ)おm
がしっ
恵土「!!」
腕を掴まれて、
母上「恵土…
解っているでしょう?^^
心は常に…共に在り…
ずっと、見守っているから…
お願いだから…
生きて、幸せになって…ね…」
それっきり…動かなくなった…
笑顔のまま…
傍に居ることを感じて、安心しているかのように…
失っていく温もりを感じながら、もう一人の方を見る…
恵土「父上…?」
父上「…」
父上は既に、こと切れていた…
血塗れの、「愛している」と書かれた一枚の紙を握り締めながら
その、清らかな想いと共に…
恵土「っ…
うあああああああっ!!!!!;;」
そして涙と共に…
再び、力が覚醒した…
白い光が、凄まじさを増していき…
とてつもないほど高密度になり、一体化していた…
「化け物が攻めてくるぞ!」
だが…
恵土は、その村人たちを許し
誰も傷付けず、誰も殺さず、村を出た…
それが、両親の望みだから…
誰も、殺してはいけない。傷付けてはいけない…
それが、小さい頃からの教えだったから…
そうして、五年もの間…
再び、人と触れ合うことを拒み…
信じられるのかさえも解らないまま…
ずっと、流浪し続けていた…
何も食べず、何も望まないまま…
あの時から、感情というものを取り戻せないまま…