第3章 変わる心境
至極尤もな質問に淡々と答えていく。私の中ではこれが日常茶飯事だ。
「今先生を呼んで来るよ!」
「いや、その必要はない」
「え?」
皆が不思議そうに見る中上体を起こし、自分側にある赤羽業の腕を取り、首に回す。片方の手を膝裏に差し込み、もう片方は背中に添える。そのまま持ち上げ、横抱きにする。所謂お姫様抱っこというやつだ。
「身長の割に軽いな」
「あのさ……下ろしてよ」
弱っている為、抵抗という抵抗も無く訴える。だが、私にそのつもりは毛頭ない。
「君は寝ていろ。心配するな、落としはしない」
赤羽業は諦めたように溜息をつく。何か問題でもあっただろうか?
「君はちゃんと食事を取っているのか?」
「煩いよ」
「…………」
病人に向かって、いろいろと喋りかけるのは、確かにまずかったかもしれない。
「悪いが渚君。そこのドアを開けてくれないか」
「う、うん!」
軽くジャンプし、赤羽業を持ち直す。転ばないように気をつけなければ。
「ねえ、本当に大丈夫?烏間先生とか呼んで来ようか?」
「いや、平気だが?何か問題でもあったか?」
不破さんが心配してくれたが、私は全然平気だ。だが何だろう。この赤羽業に向けられた、同情の目は。そんなに私が信用ならないだろうか。大丈夫だと言っているのに。
「赤羽業。熱が上がったのか?顔が赤い」
大変だ。熱が更に上がったらしい。早く保健室に連れて行こう。
「じゃあ、とりあえず保健室に連れて行くから」
そう言って廊下に出た。
「やはり、辛いか?」
返事はせず、小さく頷く。
もっと早くに気づくべきだった。思えば、朝から寒いと言っていた。ちゃんとメッセージはあった筈なのに。お昼の時も静で変だった。自分が調子に乗っいて、ちゃんと見ていなかった。
そうこう考えている内に、保健室につく。幸いにも保健室の鍵は開いていた。両手が塞がっている為、下品だが足でこじ開ける。
ゆっくりと、細心の注意を払いながら、赤羽業をベッドに寝かせる。
「ちょっと待て。今、冷やす物と体温計を持ってくる」
保健室にある冷凍庫の中から、氷を数個袋に入れる。次に棚をごそごそと、引っ掻き回し体温計を見つけ出した。