第15章 記録.15
「翔馬さんがそれで良いならいいんですけど。後悔しても、知りませんよ」
瑛翔はそう言い、中へと戻って行った。
後悔なんて、もうとっくにしてるよ。
だから伝えられないんだ。
あのとき、嫌でも捨てないでと言って連れて帰ってもらえてたら夏芽には出会わなかった。
一目惚れ、なんて馬鹿みたいだ。
好きにならなきゃ、普通に接してあげられる。
こんな情けない自分が嫌いだ。
それでも僕は...
感謝してるんだよ。
あんな家、本当は出て行きたかった。
愛される意味も愛す意味も。
よく分からなかった僕にとって、夏芽は恩人なんだ。
だから、僕は夏芽が幸せだったならそれでいい。
そう思ってるのになんでだろう?
涙が、出てくるんだ。