第1章 プリンセス・プリンス 【Type A】
「困った時はお互い様、なんでしょ?」
雅君は走りながら振り返って、悪戯な笑みを浮かべる。
そんな姿も少女漫画みたいで、私は1人で恥ずかしくなった。
「誰のせいですか!」
「え!俺のせいなの!?」
「嵐が有名すぎるせいですー!」
照れ隠しに声のボリュームを上げて雅君に八つ当たり。
「そんな嵐の中でも小雨がかっこいいせいですー!」
雅君も負けじと声を大にする。
そんなやり取りがおかしくて、私も雅君も笑いながらスタジオまで駆け抜けた。
繋いだ手を解くタイミングが掴めずに、なんとなく、楽屋まで繋いで戻った。
少女漫画なら、ヒロインは王子様に恋をするんだろうけれど、今の私は「男の子」だから。
これは恋とは言わないんだよね?