第7章 悩まされる……

「ねえ、岩泉さんって彼女がいるって知ってた？」

授業終了のチャイムと同時に、隣に座っていた矢巾君が話しかけてきた。

「え、……いきなりなんで？」

「最近岩泉さんちょっと変だって部活でも噂になっててさ……」

「変、って？」

「最近付き合い悪いから、彼女できたんじゃないかって」

「……そうなんだ……それって、なにか変なの？」

「別にそういうことじゃないけどさ、……」

じゃあなに？

てか、なんでそんなこと私に訊くの？

「岩泉さんって結構人気あってさ、よくコクられたりとかするんだけど、ずっと彼女作らなかったんだよね。それが今になって彼女……って、よっぽど特別っていうか、可愛い子なのかなとか俺らの間でも結構話題でさ」

「はじめくんって……モテるの？」

「あれ、知らなかった？」

「及川さんが、人気あるっていうのは知ってるけど……」

たまに及川さんとはじめくんに廊下で会う。

２人で並んで歩いてる周りをよく女の子がまとわりついてる。

及川さん目当てなんだって決めつけてたけど……

「及川さんはデフォルトでモテるけどさ、岩泉さんはなんか密かに人気あるって感じ？　硬派だしさ。男から見ても頼りがいあるしさ」

「そうなんだ……」

知らなかった。

はじめくん、モテるんだ……

そういえば、これまで彼女っていたことある？

訊いたことなかった。

「はじめくん、前は彼女いたことあるの？」

「さあ……俺は聞いたことないけど……これまでいない方がおかしいんじゃない？」

「そう、かな」

「俺が知ってるのは２年の時からだから、１年の時いたかもしれないし。中学の時もあるわけだし。普通に考えればいたんじゃない？」

こんなこと矢巾君に聞いてもしょうがない。

わかってるけど……すごく気になる。

「そういうのはそっちの方が詳しいんじゃないの？　幼馴染なんだよね？」

「幼馴染って言っても、幼稚園の時の話だよ」

簡単に説明すると、矢巾君はびっくりした表情になる。

「そんな小さい頃会ったきりでよくお互いにわかったね」

たしかに。

年に何度かメールのやり取りした程度。

その間、一度も会ったこともなかった。

でも……