第1章 プロローグ
私は完全に頭が混乱していた。
目の前にいる人たちは嵐。
そして、たった今、その嵐のメンバーになってもらうと言われた。
私が頭の中を整理しようとしているうちに話はどんどん進んでいく。
今回の男装メンバー加入の話は異例であり、あの取材のオンエアを見たジャニーさんが私を気に入ってスカウトしてくれたのだそうだ。
しかし、女子禁制の事務所に女性が入っているということが知れると大きな問題となる。
というわけで、嵐の中に「男性の」新メンバーとして加入し、ファンはおろか、ジュニアや他のグループのメンバーにも女性であることがバレてはいけない、というのが条件なのだそうだ。
「というわけで、これから新メンバー加入の記者会見がありますので、気象さんはメイクさんの指示にしたがって男装してきてください。」
「え!?これからですか!?」
「そうです。これからです。嵐の皆さんも多忙な中時間を作ってくれてますのでこのことに拒否権はありません。
電話でも事務所に入る話は許可していただけてますよね?」
「いや、あの、そうなんですが…少し考える時間を…」
「それでは着替えている間に考えてください。以上です。」
嵐の面々は気だるそうに立ち上がると、同じように着替えのために別の部屋へと消えていった。
残された私は、呼びに来たメイクさんに誘われ、あっという間に記者会見の場に出されてしまったのであった。