• テキストサイズ

PSYCHO-PASS

第1章 プロローグ


《人の不幸は蜜の味》



正しくそれだろう。

人が苦しむほど、悲しむほど私の中の《ナニカ》が増幅していく感じがした。

理性という文字がぷつりと切れたのはきっとあの時だ。


1年の夏

同級生の少女が屋上から飛び降りた。
イジメに耐えきれなかったらしい。

その場面をたまたま見ていた。

誰もいない部屋。
日誌のために残っていた私はその光景をよく覚えている。

なんとも言えない表情で落ちる彼女。


『フフ、ハハ… ハハハハハハ!』


笑いが止まらなかった。

見た?!あの顔!
あぁ、なんて滑稽なのだろう!
死を覚悟した時の人間ほど絶望は大きく計り知れない。


その時確信に変わった。


あぁ、私は異常だ。
昔から知ってた!

両親が死んだ時も!
目の前で人が刺された時も!
いま、目の前で彼女が落ちてゆく時も!


あぁ、なんだ…

そうだったのか!


楽しかった

愉しかった

嬉しかった

タノシカッタ


ただそれだけだったんだ。





その時から、私は私になれたんだと思う。

/ 8ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp