第6章 お笑いというカテゴリーを乗り越えれば冬が来る
千花夏「それでは気を取り直しまして。いただきます。まずはスープから頂きますね。」
私はスープを飲むふりをしました。
最初「どうです?お味の方は?僕の出汁効いていたでしょう?」
ここで私はスープを吹きまして。
千花夏「げっほ、げっほ。さっき嘘だっていったじゃないですか?」
最初「あっ、すみません。勘違いでしたらごめんなさい。僕の作った出汁ね。」
千花夏「だったらわかりやすく言ってくださいよ。あっ、カメラマンさん一回撮影止めましょう。」
最初「雑巾取ってきますね。」
テーブルを雑巾で拭いていざ撮影再開です。
千花夏「次は麺を食べてみたいと思います。ズズー、うん。太麺がスープに絡んでおいしいですね。」
最初「ですよねー。それ僕のお姉さんの縮れ毛で作ったんですよ。」
千花夏「いや、正気か!あなたのお姉さんの髪の毛取ったら意味ないでしょう?」
最初「僕のお姉さんは天然パーマなんですよ。」
千花夏「そこは聞いてないんですよ。」
最初「うちのラーメンは卵が美味しんですよ。ほら、ゆでたまご!」
千花夏「物まねはいいので先に進ませてください。では卵を食べてみますね。中が半熟でとろけて美味しいですね。」
最初「うん、おいしいですね。」
千花夏「何お客様のラーメン食べてるんですか?」
最初「いや、食べてるんじゃありません。味見です。」
千花夏「味見なら厨房でやって来て下さいよ。っていうか味見も食べたことに変わりはないんですけど。」
最初「いかがでしたか?うちのラーメン。」
千花夏「とてもおいしかったです。さすが人気店ですね。」
最初「なんせグルメランキングで53位ですもんね。大したもんだ。」
千花夏「え?53位?私は間違えた店に来ちゃったのかな?」
最初「昨日だって御客さん1人しか来なかったんですよ。」
千花夏「ええ?じゃぁあの長蛇の列は何だったの?」
私は窓の外を見ました。
千花夏「さっきまでいた人が全然いないじゃないですか?」
最初「ただ見物に来ただけみたいですね。」
千花夏「えーそんな。おいしかったなんて言わなきゃよかった。」
最初「おわあ、ライバル店に続々人が集まってる。」
最初君が店の外に飛び出しました。呼び込みでもするのかな?と思ったら最初君がライバル店のラーメン持ってきていました。
最初「あそこのラーメンうまいんですよね。」
千花夏「ライバル店なのにいいんだ?」