第4章 私のお笑い計画書
翌日の養成所にていつもと変わらない2人がいました。
「千花夏ちゃん、おはよう!」
最初君が元気に手を振っておりました。
「元気でいいな。最初君が1番輝いてるよね。」
私がそう言うとななみさんが言葉を返してきました。
「そうね。芯の楽しさってああいう所から来てるのかしらね。」
この日の養成所ではダンスレッスンと英会話が中心でした。そしててんわやんわ終わった頃、お昼の時間がやって来ました。
「最初君は大学も通いながらだもんね。大変だよね。」
私はお弁当を食べながら最初君に言いました。
「いやいや、そうでもないですよ。むしろ充実してて僕はいいんだけどな。でも親の仕送りのない千花夏ちゃんの方がもっと大変だと思うなぁ。」
最初君は頭を斯いて照れていました。
「いや別に私はそんなんじゃ・・・まぁそうですけど。」
そんな話をしているとななみさんが急に話しかけてきました。
「ねぇ。お笑いってインパクトが大事なのかな?」
「えっ、インパクト?」
私と最初君は顔を見合わせました。
「ハリセンボンさんが今人気だけどさ。近藤春菜さんや、渡辺直美さんって顔で得してると思わない?」
「確かに言われてみればそうね。」
私はななみさんの言葉に合わせて頷きました。
「お笑い芸人ってネタがあってこそじゃないの?ネタの面白さより顔が先に来ちゃってるなんて顔芸でもやればって感じよね。」
「それは言えてるな。でもそれだとどこまでが自分の実力かわかんないじゃん。」
「あー、なるほどね。」
最初君の言葉にも一理ありますね。どうしてこんな世の中になっちゃったんでしょうか?
「衣装で魅せてる人は別としてね。キンタローさんとかもね。」
「いや、キンタローさんはどっちもでしょう。」
そんな話をお昼にずっとしていました。私はいつめんとの話の中で養成所の先輩の星男先輩が言っていた言葉を思い出していました。
「テレビで売れる奴は一握りしかいない。」と言うことです。でもそうなると、何故彼らは売れてきたのか?と言うことになりますよね。やっぱりお笑いの世界は難しいんだと改めて考えさせられる1日でした。