第7章 燃えて灰になる
途切れ途切れに紡がれた言葉。
男は理解するのに遅れて固まる。
今、小夜はなんと言った?
やげんがおれた?
そんな馬鹿なことあるか。
あの子は練度だって飛び抜けて高くて、その性質上短刀は取りにくいと言われている誉だって蛍丸や石切丸そっちのけで取ってきて。
いつも帰ってきたら誇らしげにそれを教えてくれて。
事態を飲み込めず動けなくなった男に、鶴丸国永が檄を飛ばす。
「主!」
その声に我に返って、男は鶴丸国永の方を見る。
腕に抱かれている小夜左文字は、告げることを告げると緊張の糸が切れたのか気を失ってしまった。
それを目に入れて、男は自分の頬をぱちんと叩いて気合を入れる。
がんばれ。今は小夜の手当が先だ。余計なことは考えるな。
「主、手入れ部屋が用意できた」
「国広か、丁度いい。手伝い札は」
「用意した。そんなに多いのか」
「重傷が小夜を入れて三人、中傷が二人だ。鶴丸、お前は小夜を見ててくれ。」
「大倶利伽羅はいいのか」
「国広に頼む。国広、いけるか?」
「ああ、他には」
「石切丸もつれてきてくれると助かる」