第7章 燃えて灰になる
今日の出陣先は本能寺。
練度は申し分なかったし、何より薬研藤四郎がいる。
検非違使と刀を交えたとしても、ここまで負傷者が出るのは可笑しい。
だめだ、考えるのはあとだ。
今はとにかく小夜の治療を。
「鶴丸、小夜を手入れ部屋に頼む。それから国広と大倶利伽羅、石切丸を連れてきてくれ。内番中でも構わない。」
「分かった」
男の指示通り、小夜左文字を傷口に響かないようにできるだけ振動を与えずに抱きかかえる。
歩き出す鶴丸国永に、しかし小夜左文字はまってと言ってかれを止めた。
小夜左文字は視線を何度か彷徨わせた後、覚悟を決めたように男を見つめる。
瞳の中に苦痛とはもっと別のものを見つけて、男の胸を嫌な予感が過った。
小夜左文字が口を開く。