第7章 燃えて灰になる
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翌日。
今日の近侍は鶴丸国永だ。
昨夜のこともあってか、お互いがお互いを避けている様子は、他の刀剣男士たちの不安を煽る。
必要最低限の会話しか行わない男と鶴丸国永に、山姥切国広が痺れを切らすのは割とすぐだった。
「うざい」
「へ、」
第一部隊を出陣に見送って、いつも通り雑務をこなしていた男は急に言われた言葉に不細工な声をこぼす。
「何があったか知らないが、他のものにまで迷惑をかけるな。短刀たちが心配していたぞ。」
山姥切国広のもっともな言葉に、男は反論の余地もない。
「ごめん…」
男が素直に謝罪を口にすれば、山姥切国広はため息を吐いた。
「鶴丸は?」
「第三部隊の遠征の確認してもらってる」
「あんたなあ…」
あまりにもあからさまな男に、山姥切国広はつくため息もなくなってしまう。
いや、今回はどっちもどっちと言うべきか。
いつもなら山姥切国広が言えば態度を改める男も、今回は譲れないらしく再び雑務に戻った。
男の心情としては、怒っているとか嫌いになったとかそういうのではない。
嫌われてしまった気がして、面と向かって対峙するのが怖いのだ。
薬研藤四郎はああして慰めてくれたが、男はどうしてもそうは思えなかった。