第3章 ゼノ・ジェラルド
ジル 「先日メイド数人が辞めてしまいましてね。その穴埋めに・・と思いまして。」
ジルは空になったゼノのカップに優雅に紅茶を入れていく。
アル 「それがリーデルと何か関係でも?」
ゼノの持っていた求人用紙を覗き込みながら尋ねる。
ジル 「普通の人間は王宮になにが何でも入って官僚とでも結婚を企んでいます。ですが現実の仕事の厳しさに根を上げて数日で辞めていくのです。」
カップにダージリンのいい香りがたちあがる。
そのカップをゼノの前に差し出すと話を続けた。
ジル 「その点リーデルはやっと雇ってもらえた仕事をそう簡単には投げ出しません。外は差別の地獄。でも王宮は仕事さえしていれば寝る場所も3食そろっていますからね」
ゼノはそういうジルの話を静かに聞く。
アル 「ですがあいつらは不幸を呼ぶ生き物ですよ?」
ジル 「たった一人の少女のせいで不幸になるならこの国はとっくに滅んでいますよ。」
なにか異論でも?
と言いたげな笑顔でジルはアルバートに言う。
パサっ
ゼノはニヤっとする笑顔で紙をテーブルに投げた。
ゼノ 「決まりだな。あの時のリーデルを探し出して城に連れて来い。」
ジルはニコニコ。
アルバートはゼノのその答えに
ハアとため息を吐くしかなかった。