第17章 生まれ変わっても
「は、生まれ変わったら何になりたい?」
『生まれ変わったら、ですか?』
唐突なナルサスの質問だった。
『急にどうされたのです?』
「ふと思ったのだ。もしも、お主が私と出逢う事がなかったら…運命はどうなっていたのか、とな」
珍しくナルサスが、過去の可能性について考えていた。
『そうですね…ナルサス様と出逢う事がなかったら、私は平々凡々な生活をしていたと思いますよ?』
「他の誰かと結婚して、か?」
『どうでしょう。私のように、怒ると手を付けられないような女。誰かが貰ってくれるとは思えませんよ?』
そう言って、ナルサスに微笑んだ。
『ナルサス様だけです。私の全てを捧げたいと思うのは』
「お主も言うようになったな。昔は、そんな熱烈な愛の言葉など囁いてくれなかったのに」
『は、初めてナルサス様にお会いした頃は、会うことだけで胸がいっぱいでしたし…って、何を恥ずかしい事を言わせるのですか!』
「まぁ、私もと同じような気持ちだったぞ?会う度に、の事しか考えられなかったからな」
ナルサスも、の気持ちに素直に喜びを表した。
「だから思うのだ。もしも、生まれ変わったらは、また私を選んでくれるだろうか、とな」
『愚問ですわ。言ったはずです。私の全てはナルサス様のモノ。何度生まれ変わっても、ナルサス様を離したりは致しませんから、お覚悟下さいませ』
「そうか。離してもらえないとは、嬉しい限りだ」
「私も、お主を離したり出来ぬからな?」
(何度生まれ変わっても、私は貴方(貴女)に恋をする)
アトガキ
こんな恋をしてみたい…