第10章 一目惚れ→?
ザンデは、初めて一目惚れというものを知った。
それは朝の鍛練を終え、市での事。
果物を買う際に、隣に女性がきて偶然同じ物を掴もうとしたのだ。
『も、申し訳ありません。どうぞ』
そう言って手を引いた。
その女性の顔を見た時であった。
「っ!?」
そう、まさに雷に打たれたように動けなくなった。
「(な!?心の臓が…)」
あまりにも動かない為、女性は心配して声をかけた。
『あの…いかがなさいました?』
「あっ、いや…私は大丈夫だ。お主に譲ろう」
『しかし…』
「良いのだ!」
急に大きな声で返事をされ、驚いてしまった。
「す、すまない。その…」
『いいえ、大丈夫です。では、こちらの果物。店主の方に半分にして頂きましょう』
と、ニッコリ笑いかけてくれた。
『これを半分にしていただけますか?』
すると、店主ははいよ!と、気前のいい感じに返事をした。
「お主…名は?」
『私ですか?と申します。あなた様は?』
「ザ、ザンデだ」
名前を言い終わると、店主が果物を差し出してきた。ありがとうございます、と店主にお礼を言いザンデに向き直った。
『もしや、カーラーン様のご子息様ですか?』
「あ、あぁ」
『そうでございましたか。カーラーン様には、いつもお世話になっております。宜しければ、今度お食事でもいたしましょう』
「ぜ、是非!」
またもや、大きな声を出してしまいザンデは、片手の掌で顔を覆った。
『ふふっ、ようございました。では、私はまだ頼まれた物がありますので失礼いたしますね』
と、去って行った。
すぐに、家に帰り父のカーラーンにの事を聞いた。
(ち、父上!お話が!)(ザンデ、騒々しいぞ)(殿とお知り合いですか!?)(…知り合いだが…どうした?)(その…)(一応、申しておくが殿はナルサス殿の奥方。既婚者だぞ)(……)
アトガキ
結局、玉砕して友達という位置付けになります(/--)/