第41章 堕ちていく恋心/明智光秀◇(夢主side)其の3
「嘘……でしょ?」
3日前っていったらあの晩の次の日からっていう事になる。
私も会いたくなかったし、光秀は毎日私に会いに来ない人だって分かっていたから特に気にもしてなかったけど……
「どこのどいつが光秀を拉致したのか……」
「拉致?」
「ああ、矢文と一緒にこれが投げ込まれてきた」
秀吉が差し出したのは光秀の懐刀
見覚えがある懐刀を受け取る。
光秀にしては嬉しそうに語っていたのを思いだした。
この懐刀は、信長様より頂いたと言って大事にしていた物
光秀がいない__
突然の事実に何も考えられない
ただ、胸が苦しくて涙が頬を濡らしていくだけ
「泣くな……愛香の大事な光秀は必ず俺たちが助けだすから__なっ」
ぽんっと置かれた手
大きくて温かい手のぬくもりは、私に少しの安心感を与えてくれた。
でも、恋焦がれるような感情がないのに気付いてしまう。
あんなに秀吉を求めていたのに、今の私の頭の中には光秀しかいない。
「愛香は、飯でも食って光秀の帰りを待てよ。
ちゃんと食ってなかったろ?」
「……うん」
私が寝込んでいるのも気づいてくれた秀吉
ちゃんと食べろって言ってくれる。
その優しさを女として愛されていると勘違いしたのは私だ。
「光秀を……助けてね」
「ああ、俺に任せろ」
笑顔で答えてくれる秀吉が、頼れるお兄ちゃんみたいに見えて__
この時代に来た時から秀吉は私の事を気遣ってくれていた。そんな秀吉が好きだったけど
それは愛じゃない
私は、自分の気持ちに気付いた