第32章 光秀の愛のかたち/明智光秀&伊達政宗
「愛香……頼み事があるんだが……」
甘い情事の後、愛香の髪を梳きながら光秀が愛香に囁く。
「なぁに?」
「簡単な事だ」
「ん?」
「政宗に抱かれてくれ」
「え?」
__瞬時に光秀の言っている事が理解出来ずに呆然と光秀を見つめてしまう。
「ちゃんと聞いているのか?」
「……よく……聞こえなかった……かも」
自分の耳に聞こえてきた言葉は
「政宗に抱かれてくれ」
恋仲である普通の男女からは決して出ない言葉だ。
聞き間違えに違いない。
「まだ頭が惚けているようだな」
目を細めて笑う光秀からは、愛情を感じる事が出来る。
「政宗に抱かれてくれ……と言ったんだが?」
「政宗……さんに?」
どうやら聞き間違えではなかったらしいが、光秀の言っている言葉を理解する事なんて出来ずに困惑してしまう。
「できなくはないであろう?」
「そんな事無理に決まってるでしょ?」
冷静を装って返事をするが、愛香の胸中は穏やかではない。
なぜ、自分が恋仲でもない政宗に抱かれなくてはいけないのか
「前に抱かれた事があったのにか?」
冷たい視線に背中が凍りつくようだ。
確かに政宗とは肌を重ねた事がある。
でも、それは光秀と恋仲になる前の話であって過去の事である。
それを今更言われても……
「勘違いしないでほしい」
優しく愛香の頬を撫でる光秀の手は温かく、愛香への愛情は本物である。
「お前が政宗と肌を重ねた事を責めているわけじゃない__これは俺の欲望を満たすためだ」
「……欲望?」