第2章 プロローグ
___貞安…お前は綺麗だなァ___
満月が輝く夜…一人の男が刀に語りかける
___俺ァもう長くねェみてぇだ…___
男の腹部からはとめどなく血が溢れている
___ッ俺はお前を汚しちまったァ…汚ねぇ血を浴びせちまった…なのにッ俺はこんッな無様に逝っちまうからよォ___
男の言葉に返事は返ってこない…だが、男には自分の愛刀が自分の投げかける言葉に返事をしてくれている様な気がしていた
___…すまねぇッ本当にすまねぇッ…お前は俺と居れて幸せだったか?___
そう、男の言葉に返事は返ってくるはずはなかった
が、男の意識もいよいよ消える頃に小さな声が聞こえた
___あぁ僕は貴方の傍に居れて…貴方と共に戦えて同じ血を浴びれてッ幸せでしたッ晋作___
…男の顔はとても、とても幸せそうに微笑んでいたという