第7章 お久しぶりです月山さん。
「おい眼帯、知ってるか?最近鳩の野郎共が"あんていく"を嗅ぎ付けたらしいぜ?調べが入ってるらしい...チッ、胸くそわりィ。」
狩りの後、アヤトくんがそう呟いた。ノロさんが最近よく見回りに行っているのはそのせいだろう。
「そうなんだ...心配、だね。」
「...別に、心配じゃねェし。ただちょっと...っ、何でもねーよ!」
アヤトくんはトーカちゃんの事をとても大切に思っている。でも恥ずかしいのか、仲の悪いふりをしてさりげなく後ろから見守って、本当に大変になったら助けてあげたりしている。俗に言う、
「...ツンデレ...」
「あ??おいコラ眼帯てめェ何か言ったか。」
「...あっ...あは、何でもないよ。」
詰め寄ってくるアヤトくんをまぁまぁと宥めながら考える。"あんていく"が狙われている。喰種を飢えた獣としか見ていないCCGの事だ、もしかしたら夜中の集中攻撃を仕掛けてくるかもしれない。あぁでも、CCGにも分かってくれる人がいたっけ...名前、聞き忘れちゃったな。
「眼帯。お前が行くって言うなら着いていっても構わねェが、その...行くか?」
本当はトーカちゃんの事が心配でならないんだろうアヤトくんがうずうずと体を揺する。行きたい。でも、僕はCCGに顔が割れている。もしも僕が行ってしまえば"あんていく"はますます疑われるだろう。
「...行かない、よ。今はまだ。」
「そうか...チッ、鳩は何考えてやがるか分かんねェから嫌いなんだ。」
どかっと床に胡座をかいてアヤトくんが髪を掻き乱した。