第4章 我慢しないで下さい、月山さん。
そっと唇で食まれ、舌先で舐め上げられ。じっくりと味わうような愛撫の中、僕は焦りを感じていた。体に籠った熱を吐き出したい...。しかし、月山さんが僕に与える快感は達するに達せないものだった。
「っあ、ぅ、ひぁ...つきやま、さんっ...も、イきたい、です...っ...」
堪えきれずに声に出して願うと彼は僕の昂りから唇を離してこちらを見つめた。
「...カネキくん、君は...何処までも煽るのが上手だ。」
月山さんは体を移動させると僕をぎゅぅ、と抱き締めた。ふわりと彼独特の良い匂いがして、首筋に熱い吐息が掛かる。
「君を、喰べたい。...好きなんだ、愛してる。誰でもない君を...金木、研。」
突然のフルネーム呼び...しかも呼び捨てに何故か顔が熱くなり、心臓が速くなった。
「...君は、僕が嫌いだろうね。」
どこか寂しそうに呟く月山さんの背中に僕は手を回した。力はあまり入らないけれど、彼の事を抱き締めた。
「嫌いじゃないです、でも、好きでもないです...今は。」
わざと期待させる様な言い方をする自分は最低だと思う。でも、この胸の高鳴りは、詰まる息は彼のせいであるから...。もしかしたら、僕も彼の事を。
「っ...!それは、本当かい、カネキくん?」
「はい...」
普段通りの呼び方に戻ってしまった事に少し残念だと思いつつも素直に頷いた。