第21章 親子ってのは嫌なとこばかり似るもんだ 〜招かれざる客〜
「……ここね」
数日後、情報を掻き集めていた昏葉は1人、その噂の場所へやって来た。
(本当にこんなところで騒ぎを起こすつもりなの……?)
そこはお祭りが行われるという会場だった。広い広場にはたくさんの人がお祭りの準備をしている様子が見られる。そう“たくさん”の人がいるのだ。しかも、このお祭りには将軍も来るという。
「あいつが来ないわけないよね……」
「誰が来ないわけないって?」
女はその声に驚いて、後ろを振り向こうとした。しかし……。
「動くなよ?」
「……」
背中に冷たくて固い感触がある。
「……何のつもり? ここがどういう場所か……わかってるの?」
「あァ」
クククッと後ろから笑い声が聞こえる。
「……真選組もいるのよ? 刀を抜いてどういうつもりなのかしら?」
「誰も気づいちゃいねェよ」
余裕そうな声が返ってくる。
「……あんたは目を付けられてるのよ? わかってるの?」
「俺を心配してくれてるのか?」
また、クククッと笑い声が聞こえる。
「心配なんかしてないわよ。わたしが大声を出したら捕まるわよ?」
「お前はそんなことしねェよ」
「……」
ー全てを見透かされている。
「……何の用?」