第20章 たまにはブレイクタイムも必要で
「……ふぅ」
黒髪の女は行きつけのバーのカウンターで煙管を吹かせた。
「どうされたんですか?」
マスターが女に声をかける。
「ん? いや……」
女はカウンターに用意されたお酒を煽った。
「ちょっとね……いろいろあって……」
ー最近、銀時と交わってばかりだ。再会してからそんなに月日も経ってないのに……。
(こんな予定じゃなかったのにな……)
昏葉はカウンターに肘をついた。
ガタンッ
物思いにふけてると、隣の椅子が乱暴に引かれた。
「マスター! お酒!」
「はい。種類はどうされますか?」
「オススメで!」
重そうな荷物を床に置いて、1人の若い女がカウンターの椅子に座った。マスターは彼女の前にカクテルを置いた。女はそれを一気に煽る。
「はー!」
大きな声で叫んだかと思うと、女はカウンターのテーブルに突っ伏した。
「もー! なんなのよー! 新人なんだから分かんないこともたくさんあるし、知らないこともできないこともたくさんあるわよー! 自分ができるからって、みんなできるなんて思わないでよー!」
女は突っ伏した状態のまま、独り言をブツブツと呟く。
「……大丈夫?」
見かねた昏葉が女に声を掛けた。
女はバッと顔を上げて、隣の昏葉に顔を向けた。