第19章 男女の契りは誰かに言いふらすことではない 〜待っている人〜
女は神楽の頭を撫でた。
「そしたら、神楽ちゃんも心配しなくて済むしね」
「……別に、心配なんてしてないアル」
ふいっと神楽は顔を横に向ける。
「ふふ、それから……」
昏葉は神楽の頭から手を離した。
「神楽ちゃんが成人したら……一緒にお酒を呑みに行きましょう」
「え?」
少女は驚いて昏葉を見た。
「そしたら、寂しい思いをしなくてもいいものね」
「……いい……アルカ?」
「もちろんよ」
神楽は目を輝かせた。
「約束アル!」
少女は女に抱き付いた。
女は彼女を見て優しく目を細めた。
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