第15章 コスプレするなら心まで飾れ 〜対決、宇宙海賊春雨〜
「だーかーらー、うちはそういうのいらねェんだって」
ーー港。宇宙海賊春雨の船が停泊している。私たちは目の前に立っている傘帽子を被った天人に足止めされている。
「つれねェなー。俺たちも海賊になりてェんだよ。連れてってくれよ。なァ、ヅラ、レーハ」
「ヅラじゃない、キャプテンカツーラだ」
「俺たち、幼い頃から海賊を夢見ていたわんぱく坊主でさー。失われた秘宝“ワンパーク”とやらを探してるんだ。なァ、ヅラ、クレハ」
「ツラじゃない、キャプテンカツーラだ」
「……」
そんな男たちのやり取りを隣で聞きながら、女は1人沈黙していた。
(え、何? ひとつなぎの大秘宝じゃなかったの? ワン○ースじゃなかったの? 何? 失われた秘宝“ワンパーク”って……)
ーわざと黙っていたわけではない。呆れて言葉も出なかったのだ。
「知らねーよ。勝手に探せ」
ー本当だよ、と女は心の中で同意する。
「そんなこと言うなよー。俺、手がフックなんだよ。もう、海賊かハンガーになるしかねェんだ」
「知らねーよ。何にでもなれるさ、お前なら」
天人は男たちに背を向ける。
「とにかく帰れ。うちはそんなに甘いところじゃね……」